同人誌・同人ゲームの世界を体験するカードゲーム「王たちの同人誌」
この記事はボドゲ紹介02 Advent Calendar 2016の16日目の記事です。投稿日がおそらく19日になっているかと思いますが、プライベートでゴタゴタしたためであり、閲覧者の端末に何かしらの異常があるわけではありません(遅れてごめんなさい)。
「王たちの同人誌」というゲームをご存じだろうか
「王たちの同人誌」という同人カードゲームがある。今現在、入手可能かどうかはわからないが、ルールも複雑でなく、手軽に遊べるアナログゲームだと思うので、ボドゲガチ勢じゃない人たちに紹介したい。
ひとまず、恰好良い公式ページを貼っておこう。
「王たちの同人誌」はフェイズ制カードゲームである
このゲームには2つのフェーズが存在する。原稿フェイズと即売会フェイズだ。イメージができる経験者各位は、もし冬コミの原稿が終わっていないようなら、こんなものを読んでないでさっさと原稿に戻ってくれ。
ぜんぜんわからないという人向けに簡単に説明すると、即売会というのは趣味で本やフィギュア、ゲームなどを作っている人たちが集まり、自分の作品を頒布するイベントのことだ。即売会で自分の作品を頒布するためには原稿を完成させる必要がある。
カードゲームなので、いずれのフェーズでもプレイヤーは順にカードを引き、ときにはひっくり返したり、他のプレイヤーに押しつけたりする。
このあたりのルールや雰囲気はオンラインマニュアルを見て感じとってもらえれば幸いだ。
「王たちの同人誌」に同人誌や即売会の知識は必要ない
オンラインマニュアルを軽く見てくれた方はもうわかってくれていると思うが、このゲームに専門的な知識や経験は必要ない。このゲームは、より高い得点を求めてカードをやりくりする、その点においては特段珍しいカードゲームではないと思う。
カードには同人カードとイベントカード、切札カードの3種類がある。
同人カードには同人誌の内容を示唆するキーワードがちりばめられており、同時に得点を示す数値が2つ書かれている。カードを取得したときにはプラスの得点を参照することになる([光]のカード)のだが、ゲームを進めていくうちにカードをひっくり返す(上下を逆にする)必要がでてくる。ひっくり返ったカードはマイナスの得点を参照することになる([闇]のカード)。たとえば、最も高い得点を誇る「18禁」というカード(頒布するの同人誌が18禁であることを示唆する)は+8点という強力なカードではあるが、このカードがひっくり返ってしまうと-8点という絶望的なカードに変化する。
イベントカードは即売会フェーズにおいて、同人誌の頒布を有利にしたりトラブルを発生させたりする愉快なカードだ。原稿フェーズでは順調に事が運び高い得点を揃えていたプレイヤーも、イベントカードの不条理によって身を滅ぼす危険がある。それぞれのカードに書かれているイベントは即売会経験者なら誰もが頷くあるあるばかりで、たとえば頒布する予定の本が会場に届かなかったり、頒布時にスムーズに金銭のやりとりを行うためのお釣り(小銭)が足りなくなったりする。経験者であれば思い出すだけで冷や汗がでてくるようなイベントがプレイヤーの精神と得点を削ったり、時には回復してくれたりする。
切札カードは、ゲーム開始時に各プレイヤーが1枚ずつ所持し、即売会フェイズにて利用できる必殺カードだ。中にはルールを変えてしまうような強力なカードもあり、使い方次第ではあっさりと逆転できてしまう。切札がある限り諦める必要はなく、油断してはならない。
「王たちの同人誌」は想像して楽しむゲームだ
このゲームの本当の目的(楽しみ方)はおそらく勝利することではない。
プレイしていくうちに、勝利を目指すよりもプレイヤー同士で笑えるような面白い組合せの同人誌を作りたくなってくる。たとえば、「幼女がでてくるちょっとえっちなコメディ」という同人誌を作ることができる。組合せが上手くいくと楽しい。しかし、油断してはならないのだ。「コメディ」のカードがひっくり返ってしまうと「筋肉」に、「幼女」のカードがひっくり返ってしまうと「おっさん」になってしまう……! 「おっさん」「えっち」「筋肉」……どんな同人誌なのだろうか。想像しない方が良いかもしれない。でも、ちょっと無茶でも想像すると楽しいかもしれない。
どうせ組合せは自由にはならないのだ。手元に来たカードがどんな同人誌になるのか、想像してみると楽しいと思う。そしてそれをプレイヤー同士で共有するのだ。きっと楽しい一時が過ごせるだろう。