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惨劇RoopeR -その難しさと面白さ-

2015-12-14

この記事はボドゲ紹介 Advent Calendar 2015の14日目です。

惨劇RoopeRとは

惨劇RoopeRというゲームをご存知でしょうか。

簡単に説明すると、一人のプレイヤー(脚本家)が用意した脚本に対して、残りのプレイヤー(主人公たち)が脚本家の思い通りにさせないよう妨害するゲームです。

もちろん、事前に十分な情報なくして、脚本家を妨害することはできません(推理小説などを見ても、全ての事件を未然に防ぐ探偵なんていませんよね)。では、どのようにして事件を防ぐのか。そう、ループです。

公式の説明ページに書かれているように「ひぐらし」の古手梨花や「まどマギ」の暁美ほむらのように、主人公たちはループすることができるのです。

主人公たちにとってこのゲームの目的は、惨劇の起きる数日を繰り返す中で、惨劇を回避することです。一方、脚本家の目的は「惨劇を回避させないこと」では必ずしもありません。

どのようなゲームか

このゲームは基本的に4人でのプレイを想定しています。そのため、脚本家と呼ばれるプレイヤーが1人、主人公と呼ばれるプレイヤーが3人になります。

事前準備

脚本家を担当するプレイヤーには事前準備として、脚本の用意が必要です。脚本といっても用意するのは難しくありません。いくつかの脚本がゲームに付属している他、公式でまとめた脚本集も別売で存在します。また、説明書には脚本の作り方も載っているので、そちらを参考にすればオリジナルの脚本を作ることも可能です。

脚本で決まることはたくさんありますが、特に重要なのは「登場人物とその役割」「何日目にどんな事件が起きるか(また、その犯人は誰か)」などです。この辺りは、動画投稿サイトにアップされている動画などをご覧いただくのが良いかと思います(本当はここが一番説明したいけれどネタバレにならないように書くのが難しいので今回は断念します……ごめんなさい)。

プレイ

プレイの時点で脚本は完成している必要がありますが、脚本家の仕事はこれだけではありません。プレイに際しては、脚本家はいわばゲームマスターのような役割を担います。

登場人物の配置、友好・暗躍などのカウンターは脚本家の役目です。その他、日ごと(ターンごと)の登場人物たちの移動や事件の発生などの管理も脚本家に仕事です。

では、主人公たちは何をするのか。各登場人物と仲良くなったり、別の場所に移動してもらったりします。そうすることで、事件の発生条件を満たさないようにしたり、事件の真相を究明するために必要な情報を引き出したりするのです。

主人公からみると、このゲームには明確な勝利条件はありません。脚本家が用意した脚本に存在する「主人公が敗北する」条件を全て回避すれば勝利です。

惨劇RoopeRの何が難しいか

まず、プレイするための条件が容易ではありません。プレイヤーは4人(の倍数)でなければなりませんし、なんと一回のプレイに180分〜という長時間が必要です。その上、(いくつか用意されているとはいえ)事前に脚本が必要なのです。

また、脚本家としてプレイすることも難しいです。というのも、脚本家は「主人公たちが敗北する」条件を満たすように登場人物を動かす必要があるからです。

主人公たちは1日にそれぞれ1つアクション(合計3つ)を行えます。同様に脚本家は1日に3つアクションを行えます。ただし、主人公たちと脚本家で取れるアクションは一部異なります。これはゲームバランスを維持する上でとても重要となっています。事実、互いに「相手のあのアクションがあればなー」という声は頻繁に聞けます。

最初に書いたようにこのゲームはループするため、2ループ3ループと繰り返すうちに、主人公たちは脚本家の狙いに気づいていきます。そのため、脚本家は手札を切るタイミングが重要になります。

この点が脚本家としてのプレイの難しさです。脚本によっては最初のループで「主人公たちが敗北する」条件を1つも満たさないまま、惨劇を回避して終了することもあります(僕も脚本家としてこのミスを何度かやりました)。これは結構致命的な展開で、こうなると主人公たちは何が起きるはずだったのか知ることもないまま、「なぜか勝利した」というプレイの満足感を得られないまま終わることになるためです。

逆に、良い戦いができれば最終的に主人公たちが勝利しても、それは脚本家の敗北ではありません。主人公たちが勝利したら、脚本家は次のように讃えれば良いのです。「おめでとう、君たちは惨劇を回避して見事ループを脱出した」。

なぜ惨劇RoopeRをプレイするのか

面白いからです。このゲームの何が面白いのか。いろいろありますが、推理物、論理パズルとしての難易度の高さ、バランスの良さは大きいでしょう。脚本が良ければ知的で楽しい一時が過ごせることは間違いありません。

脚本というゲームシステムの型にはめることで、推理ゲームとして非常に面白くなっています。さらに、用意されている登場人物も魅力的です。彼らにはそれぞれ、「事件の起こしやすさ」「移動できるエリアの制限」「親しくなった主人公たちへの援護」が設定されており、中にはファンタジーな登場人物もいます。

また個人的には、脚本家としてプレイするのは主人公としてプレイする以上に楽しいです。先に述べたような難しさがある分、さらに楽しいと思います。

そして、ゲームシステムに慣れてくると脚本を作ることが楽しくなります。

興味を持った人は

まずは、経験者に脚本家をやってもらって、主人公としてプレイしてみましょう。

その先、脚本家としてプレイするかどうかは自由です。人によって主人公としてのプレイの方が楽しい人もいれば、脚本家の方が楽しいという人もいます。

脚本家に興味を持った人は、脚本家の経験がある人にサポートしてもらいながら、一度脚本家をやってみると良いでしょう。そして、慣れてきたら自ら脚本を書いてみましょう。脚本家としてのプレイと脚本の作成もまた、人によって向き不向きがあります。

どの立場が自分にとって一番楽しいのか、順に試してみることをお勧めします。

この記事を読んで興味を持ったけど、周りにやってる人がいない……という人は Twitter で @risou (僕です)宛に「この記事読んで興味持ったんだけど」と伝えてもらえれば、そのうちどこかでプレイの機会を用意できるよう尽力します。

2015-12-14 22:33:58.659468 JST